夏は視界を攪乱する。グラウンド全てを自分たちの舞台とする球児たちの何と眩しいことか。白線からの開放、あまりの眩しさに私は視覚を遮断する。眩暈と共に蜩の鳴き声が私の頭を貫く/太陽に恋焦がれていた向日葵は太陽に手篭めにされ霍乱になった。医者を呼ぼうにも彼女を慕っていた蝉はもうこの世には居ない/子供たちは今日も近所のプールではしゃいでいる。この何物にも変えがたい一時がもう直ぐ終わってしまうことにも気付かず。プールに浮かぶ木の葉を見て感慨深く思う/昨日の夕立で露草はすっかり流れてしまった。昼はどんどん短くなる。蒸発してしまったソーダ水の事を彼はまだ知らない振りをしている/