夏は死んだ。
(ゆっくりと溶明。眩いほどの白。)
世界が動転するほどの衝撃はあれが最初で最後だ。と思っていた。自分が神であったはずの世界はそれほどに脆く小さなものだったことを思い知る。視界が光に溢れている世界の美しさよ。お前の世界など矮小な喜劇に過ぎないと語る。その声は強く気高く自信に溢れているという事実を受け入れることが出来ない。暗愚である筈の異端児は自分を無表情に見下ろしているというのに。結局愚鈍で傲慢だったのは自分の方だったか。世界を見下ろして哂う自分の姿を想像して泣きたくなった。嘗ての同胞と共に消えてしまいたいと思う。しかし奴はとうにラインの向こう側だ。虚像と実像の違いはとうの昔に分からなくなってしまっている。見上げれば空は世界など存在しないかのようにいつも通り青い。これからも青いだろう。そしてようやく自分はこの世界では神にはなれないのだと悟った。いずれ見るであろう夢は終焉と共に儚くも剥がれ落ちる。コンマの空白は文字通り白を運んできた。背負う声など無い。これが最期だろう。喝采を受けて舞台から降りようではないか。たとえそれが新世界の幕開けだったとしても。
夏は死んだ。
(『神』、客席へ捌ける。暗転。)
(明転。)
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